連載コラム 前略 マラソン課長より 事務局の取組みや想いを綴ります

2016準備状況-第8回

緊急報告!コース検定やいかに

コース

ランナーであればマラソンコースの「公認検定」という制度があるのはご存知かと思います。自らの走行タイムが「公認記録」になるのか「非公認」となるのか。皆さんにとって、あまたあるマラソン大会を選択する際、この「公認」の有無は重大事項ですよね。

そのコース検定がどのようにして行われているのか…私は知っています。何せ昨年、函館ハーフのコース検定に立ち会いましたからね。今回は、その検定調査の概要を以下のとおりお知らせいたします。言っておきますけどかなりシビアです。

(検定前)
①公益財団法人日本陸上競技連盟に「長距離競争路・競歩路実測調査」を依頼する
②主催者側が400mピタリの「カリブレーションコース」を測量・設定しておく

(検定前日)
③日本陸連検定員と技術員が、カリブレーションコースを検定用50m鋼製巻尺で再計測する(50m×8回で400mを測定し、その実測値をもとにカリブレーションコースをマーキングする)
④上記③がもう一度実施され、2回の平均値に基づき暫定カリブレーションコースが設定される
⑤当日の気温を記録、気温により伸縮する鋼製巻尺の長さが温度補正係数などにより算出される
⑥上記⑤により算出された最終修正距離に基づき、上記④の暫定カリブレーションコースがさらに修正され、検定用の最終的なカリブレーションコースが設定される

(検定当日)
⑦日本陸連の検定員と技術員が、上記⑥のカリブレーションコースを各々自転車で4回走行し、400m走行時の計測用カウンター値の平均値を算出。さらにコース過小防止係数が乗じられ、そのうえで1㎞当たりのカウント数が算出される。この数値がコース測定時の「作業定数」として使用される
⑧日本陸連の検定員と技術員がマラソンコースのスタート地点から自転車で出発、あらかじめ設定しておいた計測ポイント毎に計測カウンターの数値が記録され、フィニッシュ地点までそれが続けられていく
⑨上記⑧のコース実測後、上記⑦が再度実施され、実測終了時点の作業定数が算出される。その後⑦と⑨の2つの作業定数の平均値が算出され、それが「測定日の定数」として設定される
⑩上記⑨の測定日の定数を元にコース全体の累積距離と過不足となる距離が算出される。申請者側には計測ポイントの修正が指示される
⑪日本陸連技術役員立ち会いのもと、計測ポイントを修正する~終了

(後日)
⑬公益財団法人日本陸上競技連盟「長距離競争路・競歩路実測調査報書」が届く
⑭そのまた後日、同連盟から「公認書」が届く

ね。すごいですね。この検定ですが、昨年のハーフも今年のフルも、世界で約60人、日本には数人しか居ない「国際陸連A級計測検定員」たる日本陸上競技連盟 施設用器具委員長の平塚和則氏(67歳)にご担当いただきました。結果は…合 格でした。

「もうトシだから後輩に道を譲りたいんだけどねぇ」と言いながら、雨のなか踏みしめるペダルの力強さには昨年に引き続き今回も驚かされました。氏にはぜひとも2020東京五輪のマラソンコースの検定も担当していただきたいですね。

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